水墨画制作のadvice
どんなベテランでも基本を大切にすること
水墨画に限らず、絵画は自由な表現が求められます。しかし、基本を全く知らずに自由に描くと、ともすると表現意図が伝わらない作品に陥りがちです。また基本を身につけておくことが、より自由な表現を可能にします。 調墨をおろそかにしていませんか。筆法を忘れて描いていませんか。基礎がしっかりした作品は、訴える力が強いものです。
「描きこみすぎ」は味を損ねます。もう一筆というところで筆をおきましょう。
いい作品を描きたいと思うあまりに、画面全体にわたって細部まで描きこみすぎるのはよく見られる傾向です。しかしその結果、画面が重苦しく主題がはっきりしない、印象の薄い作品になってしまいます。むしろ、墨色の強弱などでメリハリをつけるほうが効果的な場合があります。あと一筆、と思ったところで筆をおいて翌日作品を見てみましょう。足りない部分を補筆するかしないか程度で十分なはずです。
花をモチーフに上位を狙うなら…
きれいに咲く花は、どなたでも描きたくなる身近なテーマです。花を描くなら、必ず実物を見て描くこと、これが重要なポイントです。というのは花はだれもがよく知っているので、ごまかしがきかないモチーフだからです。花だけを小さくまとめてしまうと、広い会場では弱々しく、目立ちません。テーマの花を生かすような構図づくりの工夫をしてください。
写真は記憶を助ける役割と心得ましょう。
感動した風景などをその場でスケッチできれば一番いいのですが、それが難しいこともあります。写真を撮っておくと、あとで作画をしようと思った時にたいへん役に立つものです。ただ、写真をそのまま描き起こすのではなく、あくまでその場の感動を筆に託すつもりで、写っているものを取捨選択したり、実際にはなかったものを、新たにつけ加えてもいいでしょう。 写真を使う場合は次の点に注意をしましょう。
  • 写真は見た目以上のコントラストがついているので、それをそのまま墨の濃淡に移しかえてしまうと、諧調が少ない固い印象の作品になりがちです。
  • レンズによっては、遠近感を強調して撮影することができます。その影響で、遠くのものが実際より小さくなったり、手前の両隅に多少のゆがみが生じることがあります。作意を持ってそのように構成する場合もあるでしょうが、無自覚に写真をそのまま描くと空や地面のスペースが必要以上に広くなってしまうことがあります。
  • レンズは人間の目よりもずっと遠くのものまで精密にとらえます。実際に見ていたよりも細かく見えます。それにしたがって遠景までシャープに描いてしまうと、形や構図の遠近はついても、作品としての遠近は平板なものとなります。
落款を入れる習慣をつけましょう
落款とは、雅(画)号を記して落款印を押したもので、完成した作品であることを意味するものです。正式な作品である(試作ではない)証となるわけです。また画面構成を考えた場合でも余白にサインするだけといった軽いものではなく、作品をきちっと引き締め、まとめる働きも持つものです。ですから、落款の位置や大きさが大切になります。大きすぎたり、画面の動きを遮るようなところに位置すると、せっかくの作品の完成度を損ねることになります。
位置
画面の流れを遮らないように、動きの始点に入れるのが一般的です。
大きさ
印は色紙までなら1.5cm角、F6号~F10号までなら1.8cm角、F15号~F30号は2.1cm角が標準的な大きさです。署名の大きさもそれに準じます。
入れる内容
雅(画)号と落款印両方お持ちの方は両方
雅(画)号を持たない方はお名前(姓は除く)と落款印
印がなければお名前(姓は除く)だけ
墨を引き立たせる色の使い方
色を使うことによって、画面に華やかさや美しい情緒を表現することもできます。しかし、色をむやみに使いすぎると作品の品性を失うだけでなく、主役である墨が色に負けてしまうことになります。色彩を施す墨彩画でも、作品の中心の色は墨なのです。墨の微妙な濃淡だけで花や緑などの柔らかい色や周囲の空気までも表現することができるのです。安易に色の便利さによりかからないようにしたいものです。 前もって配色を考えて、色と墨とが調和しているか、墨の諧調をよく生かしているかなど、実際にいろいろ試した上で制作にかかるようにしましょう。
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